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[コメント] 2018-03-29 11:34

No.143 ふるさとの物語 第46回 版画誌「彫刻刀」~優れた芸術家育てる~

ふるさとの物語 第46回 版画誌「彫刻刀」~優れた芸術家育てる~

川のほとりだろうか、じっとこちらをうかがっている。やせた体に長い手足、周りには魚の骨が散らばっている。ちょっと不気味な河童の姿(版画)が貼り付けられているのは、昭和初めに青森市で発行された版画の同人誌である。
明治の末、版画を実用的な印刷物としてではなく、美術作品としてとらえようとする新しい動きが起こった。創作版画運動と呼ばれるものである。元になる絵(下絵)を描く、彫る、摺るという一連の作業を作家自身が行う「創作版画」。それを貼り込んだ同人誌(創作版画誌)が、大正期から昭和初期にかけて全国各地で刊行された。
県内で初めての創作版画誌は、昭和5年(1930)に青森中学(現青森高校)の生徒だった佐藤米次郎、根市良三、柿崎卓治が作った『緑樹夢(りょくじゅむ)』といわれる。彼らが始めた版画誌作りは、その後、関野凖一郎ら多くの若者たちが加わり展開していった。この『彫刻刀』は、その流れの中枢にあるものである。こうした版画誌には、当時指導的な立場にあった銅版画の先駆者今純三をはじめ、後に日本を代表する版画家棟方志功なども関わっている。
郷土館では、青森県近代文学館で開催される『本の装い』展(2月24日から)で、本県の版画の歴史に欠かせない貴重な版画誌を紹介する。様々な人が関わり生まれた版画誌は、版画制作に関わる若者を刺激し優れた芸術家たちを育てた。彼らの中には、「本」にまつわる仕事、表紙画や挿画、豆本制作などでも活躍した人も多い。

写真:「彫刻刀 第三号」(1931年)
※この記事は2018年2月15日付の東奥日報朝刊に掲載しました。

投稿者:学芸課 大田原慶子

[コメント] 2018-03-29 11:33

No.142 ふるさとの物語 第45回「雪上に残った足跡」~えさ探し回る動物たち~

ふるさとの物語 第45回「雪上に残った足跡」~えさ探し回る動物たち~

冬眠して春を待つ動物も多いが、雪の上に足跡を付ける動物たちは冬眠せず、えさを求め活発に行動している。足跡の写真は岩木川の河川敷で見つけたトウホクノウサギの足跡だ。足跡はまるで「けんけんぱ、けんけんぱ」と遊んでいるようだ。ウサギは後ろ足でジャンプして「前足・前足・両後ろ足」の順番で着地する。これが「けんけんぱ」に見えるのである。
 ウサギの足跡のそばで、きれいに一直線で歩く足跡を見ることがある。これはホンドギツネの足跡だ。キツネが獲物であるウサギを追いかけているのである。当然ウサギもキツネなどの天敵が襲ってくるのを知っていて、不必要に歩き回ったり、Uターンしたり、急に大きく横にジャンプしたりして足跡をかく乱させる。
 ホンドタヌキの足跡は、ふらふらと歩いているように見える。雪が降った後は足跡を見つけるチャンスだ。ウサギ・キツネ・タヌキ以外にも様々な動物の足跡を見つけることができる。足跡探しもなかなか楽しいものである。

写真:トウホクノウサギの足跡(つがる市の岩木川河川敷)
※この記事は2018年2月8日付の東奥日報朝刊に掲載しました。

投稿者:学芸課 豊田雅彦

[コメント] 2018-03-29 11:33

No.141 ふるさとの物語 第44回「田代平湖成層」~かつての湖底に堆積~

ふるさとの物語 第44回「田代平湖成層」~かつての湖底に堆積~

青森市の駒込川上流、田代元湯という温泉があった場所の近くで写真のような地層が見られる。地層の中央部に,薄い泥の層が何層も積み重なっているようすが見えるが、この層と層の間から植物の葉の化石が見つかることもある。このような特徴をもつ地層は「湖成層」と呼ばれ、波の穏やかな湖の底に泥が積もってできる。駒込川上流部には田代平という平坦地が広がっているが、かつてここは湖だったのである。
 湖が存在したのは40万~10万年前のこと。十和田湖と同じカルデラ湖に分類されるが、十和田湖よりやや小さかったようだ。カルデラ湖は、火山の巨大噴火によって陥没した地形「カルデラ」に水がたまってできる。このカルデラは八甲田カルデラと呼ばれ、八甲田火山群の火山活動によって形成された。
やがて、この湖から水が流れ出て駒込川ができ、カルデラの西側では北八甲田火山群が活動を始める。カルデラ壁からの土砂や火山活動による噴出物の流入、駒込川から湖水の流出によって湖はしだいに干上がっていった。現在、湖の名残といえるのは田代湿原である。

※この記事は2018年2月1日付の東奥日報朝刊に掲載しました。

投稿者:学芸課 島口 天

[コメント] 2018-03-29 11:32

No.140 ふるさとの物語 第43回 「百万遍回し」~悪魔を払い、安泰願う~

ふるさとの物語 第43回 「百万遍回し」~悪魔を払い、安泰願う~

むつ市大畑町を流れる大畑川の河口から4キロほど上流に小目名集落がある。集落の北のはずれが墓地で、そこの奥に無住の小さいテラがあり地蔵様がまつられている。農閑期の12月から4月までの毎月6日(正月は除く)に、このテラに小目名の姑世代が集まり、百万遍回しといって大数珠を回す行事が行われる。昔、小目名で悪いことが起きてその日が6日だった。それで6日に悪魔払いの数珠を回すことになったという。3年前の12月6日、この行事を見学させてもらった。午前10時ごろ、鉦を叩く人を先頭にしてテラから10数人が出発する。大数珠を一本の綱のようにして皆で持ち、行列になってムラを回る。東西南北のムラ境と小目名橋のたもとでは数珠を輪にして回し、最後に一斉に唱え言をして、悪魔を数珠でムラの外に押し出すような所作をする。テラに戻ると、地蔵様の前で念仏を唱えながら再び数珠を回す。人目を引くので気恥ずかしそうな様子もちょっと見られたが、ムラや皆の安泰を願うひたむきな姿が印象深かった。

写真:小目名集落で農閑期に行われる行事「百万遍回し」で、悪魔払いの数珠を回す住民たち
※この記事は2018年1月25日付の東奥日報朝刊に掲載しました。

投稿者:学芸課 古川 実

[コメント] 2018-03-29 11:32

No.139 ふるさとの物語 第42回 「ユキクロカワゲラ類」~雪上を動き回る虫~

ふるさとの物語 第42回 「ユキクロカワゲラ類」~雪上を動き回る虫~

冬季間になると,殆どの昆虫は長い冬が過ぎるのをじっと待っている.中には雪上を動き回る虫達もいて,雪虫と呼ばれている.
カワゲラ類,トビムシ類,ユスリカ類,ガガンボ類などの昆虫の一部である.
 近年,雪上で見られるクロカワゲラ科のセッケイカワゲラ類の名前は,高山の雪渓以外の低地の雪上でも広く見られることから,名前と生息環境が一致せず,近年はユキクロカワゲラ類と呼ばれている
 ユキクロカワゲラ類などの雪上カワゲラ類の成虫は,名前のように主に冬期間に成虫が河川沿いの雪上で見いだされる.分布は広く高山から里山まで広範囲に分布している.体長は約10mmしかない小さなカワゲラで体色は黒色である.翅は退化してなく痕跡が残っている.またこの仲間の成虫は長い尾毛を持っている.
 ユキクロカワゲラ類は幼虫期は河川に生息している.上流域で産卵して下流域で幼虫は,川底の落ち葉など食べて成長する.初冬に雪上で成虫となり,河川沿いに再び上流部に向かって今度は雪上を歩いて移動すると言われている.
 冬季間に積雪の上を歩行する雪上カワゲラ類であるユキクロカワゲラの仲間は,クロカワゲラ科等に属し複数種知られているが,分類の研究はまだ十分ではなく大変分類が難しく,種名を特定することが困難なグループである.分類,生態,分布等も含めまだ十分に調べられていない.

写真:ユキクロカワゲラ類の虫(岩木山麓の雪上で撮影)
※この記事は2018年1月18日付の東奥日報朝刊に掲載しました。

投稿者:学芸課 山内 智


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